失業保険給付&退職マニュアル

失業保険の受給中に妊娠したら?失業保険をあきらめない「延長手続き」の申請方法

失業保険の受給資格の条件には、「再就職を希望し、なおかつすぐにでも仕事に就けるが求職活動をしても再就職先が見つからない状態」というものがあります。

最近では妊娠をしていても出産間近まで働く方もいますが、それは妊娠前から働いている職場で継続的に働いているケースでしょう。

妊娠中は本来であれば「すぐに働けない状態」

妊娠や出産を機に退職した場合、いくら自分が働けると思っていても、「いつ生まれるか・トラブルが起こるか」わからないし「お腹も大きく、できる仕事に制限がある」身体の人を採用したいと思う企業はあるでしょうか?

厳しい言い方にはなりますが、雇う側としてはなるべく避けたいはずです。

こういった背景から、妊娠中は「すぐに仕事をできる状態ではない=失業保険の受給資格は認められない」ことになってしまいます。

これは退職理由が妊娠や出産のため、というだけでなく失業保険の受給中に妊娠がわかったときも該当します。予定を組めるものではないので、女性であれば誰しもがその可能性を秘めています。

妊娠中は受給資格がない・なくなる、としたら今まで雇用保険に加入していても失業保険をもらうことはできなくなるのでしょうか?

出産後改めて求職活動ができるなら

女性が妊娠して求職活動ができない、すぐに再就職できない場合には「特定理由離職者」となり、受給期間の延長を申請することができます。

妊娠が理由で受給資格を延長したい場合は、最大3年間、受給期間を含めると最大4年間の延長ができます。生まれた赤ちゃんが保育園や幼稚園に入れるくらい大きくなるまで、という感じですね。最近は0才のうちから保育園に預けて働くアクティブなママ達も少なくありません。

それでも妊娠・出産の数か月とはいえ、失業保険をもらうかもらえないかでは経済的に大きな違いがでてきますよね。

この受給期間の延長はどのように手続きをすればよいのでしょうか?

受給期間延長の手続きができる期間

妊娠が理由で退職した場合は、退職から31日が経過してから1か月以内に手続きをしなければなりません。

これは、「離職中に再就職できる見込みがない期間が31日以上になる場合、延長の手続きができる」という受給期間延長の条件があるからです。

すぐに働けない期間が30日以内の場合は、「傷病手当」として基本手当が名前を変えて給付されるため、期間延長ができません。

失業保険の受給期間中に妊娠が分かった場合は、母子手帳をもらった時点でハローワークに相談し、受給期間延長の手続きを進める方向に持って行く方がよいでしょう。

妊娠・出産での受給期間延長に必要な書類は?

受給期間延長の申請に必要な書類はどのようなものを用意したらよいのでしょうか?
必要なものは以下のものです。

妊娠が理由で退職した場合は、上のものすべてが必要になります。受給期間中に延長を申請する場合は、預金通帳は必要ありません。今まで失業保険が振り込まれていた口座をそのまま使います。

通常の怪我や病気であれば、医師の診断書が必要ですが、妊娠の場合は母子手帳が発行され、そこに妊娠の事実と経過が記載されるので診断書は必要ありません。

妊娠を隠していたら?ばれたらどうなるの?

妊娠を隠して失業保険を受給することは不可能ではありませんが、妊娠は他の病気やけがとは違う側面があるのでリスクを伴います。

お腹も大きくなっていないし身体は動けるから、といって失業保険のために求職活動をしていても、いつ万が一のことがあるかわかりません。ちょっとしたけがや病気でも、妊娠しているとなれば入院措置になることもしばしばです。そうなってしまっては、隠して失業保険をもらっていることもばれてしまいかねません。

もし、妊娠を隠して失業保険を受給しているのがばれてしまったら、どうなるのでしょう?

これは、「すぐ働ける状態ではないことをわかっていて(故意的に)もそれを隠して失業保険を受給していた」ということですので、つまりは「不正受給」に該当してしまいます。

不正受給とみなされてしまうと、それ以降の受給資格がなくなり、それまで受給していた額とその2倍の額を罰金のような形で支払わなければなくなります。合算すると、受給した額の3倍です。月に10万円を3か月もらっていたら、3倍で90万円です。

働いていても簡単ではない額になってしまいますので、無理に隠すようなことはしない方が無難でしょう。