失業保険給付&退職マニュアル

派遣社員が失業保険をもらうには?派遣特有の「1か月」の待機期間

非正規雇用のすすめから、昨今は派遣会社に登録して派遣社員として仕事をする人も増えてきました。派遣会社から紹介または指示された職場で一定期間働くスタイルの派遣社員。

この派遣社員は、退職した時に失業保険をもらうことができるのでしょうか?

派遣社員でも雇用保険に加入できる

結論としては、派遣社員でも正社員でも雇用保険に加入していれば失業給付の受給資格は同じです。

派遣会社から発行されている給与明細を確認して、「雇用保険料」が控除されていれば雇用保険に加入していることになります。さらに、この「雇用保険料」を12か月以上支払っている(12か月以上派遣会社から給与をもらっている)のであれば、失業給付の受給資格は十分にあります。

むしろ派遣会社は、企業へ社員を派遣する場合に雇用保険や労働保険に加入していないと派遣できないところもあるので、コストを理由に雇用保険や社会保険を渋る小さな会社よりはしっかりしているはずです。

「派遣切り」にあったときのために、給与明細の「雇用保険料」の控除がきちんとされているか、どのくらいの期間加入しているかは確認しておくとよいですね。

派遣社員の退職のタイミング

派遣社員の退職、というのも、実は言葉としては間違いなのです。「派遣社員」というのは「派遣会社」と「派遣契約」を結び「派遣先企業で働く」のです。

なので本来労働対価である「給与」ではなく「契約料」をもらっているというのが正しいのです。

さて、ここで疑問になるのは、「派遣社員の退職とはなんぞや?」とうことです。

退職のタイミングとしては、一つの派遣契約が終了した時。更新する意思が派遣する側される側になく契約を継続しない場合です。

もう一つは、派遣契約を一つ満了して更新はせず、次の派遣先の紹介や指示を待っていたが紹介がなかった場合です。後者は派遣先との契約終了ではなく、派遣会社との契約終了になります。

派遣社員と正社員や契約社員との違いは、「直接の労働契約ではない」ことが一番です。職場と働く者の間に必ず「派遣会社」があります。この仲介があるせいで、失業保険に関しては話がややこしいように思えるのです。

しかし、シンプルに考えるとさほど難しいことではありません。雇用保険を天引きするのは「派遣会社」なので、その「派遣会社」との契約が終了すれば雇用保険料が支払われなくなるので「失業状態」になるのです。「派遣会社」から給与をもらえなくなったとき、それが派遣社員の退職のタイミングといえるでしょう。

派遣先との契約は終了したが、派遣登録を解除しないで次の仕事を待っている場合は失業状態にならない場合もあります。

詳しくは次項で説明しますが、仕事の紹介が1か月以上ない状態になって初めて派遣会社は「離職票」を発行する手続きに入ります。つまり、1か月は仕事がなくても「失業状態」にはならず、この間に離職票を請求すると「自己都合退職」になってしまいます。

失業保険の「給付制限」はないが、派遣だけにある「1か月」の待機期間

派遣社員の退職は、基本的には契約社員と同じく「契約期間満了」なので「特定理由離職者」となり失業給付までの「3か月の待機期間」はありません。しかし、すべてが契約社員と同じわけではないのが要注意です。派遣社員には「魔の1か月」があります。

派遣契約が終了して更新もしない場合、つまり退職したい場合にすぐ派遣会社に「契約解除します」と申し出てしまうと「自己都合退職」扱いになってしまいます。実は派遣社員が失業したと認められるには、1か月以上派遣契約がない状態が続かなければならないというきまりがあるのです。

つまり、この1か月を待たずに離職してしまうともれなく「自己都合退職」となり「3か月の給付制限」があります。

1か月無収入状態を辛抱すれば、「特定理由離職者」となり、「3か月の給付制限」はありません。

つまり、派遣社員は退職した場合、「特定理由離職者」になっても最低1か月は収入のない状態がある、ということです。

3か月の給付制限よりはマシですが、このことを頭に入れて仕事があるうちにある程度の蓄えはしておかないといけないのが「派遣社員」です。

なお、派遣先の企業から契約途中での契約解除(正社員でいう解雇宣告)があったり、派遣先が倒産したりという場合は、文句なく「会社都合の特定理由離職者」となるので、そこはご安心を。

って、仕事が急になくなってるのに安心はできませんけどね。失業保険はすぐにもらえるよ、ってことです。(^^;)