介護離職しても雇用保険の給付は受けられる?

高齢の親や家族の介護のために仕事を辞める「介護離職」。収入が途絶える不安がある中で、失業給付(基本手当)を受けられるかどうかは大きな問題です。本記事では、介護離職をした場合の雇用保険の給付について詳しく解説し、よくあるトラブルや間違えやすいポイントを紹介します。

介護離職でも雇用保険の失業給付は受けられる?

結論から言うと、介護離職をしても条件を満たせば雇用保険の基本手当(失業手当)を受け取ることが可能です。ただし、離職理由によって受給開始時期や給付日数が変わるため、注意が必要です。

受給条件

介護離職の場合も、雇用保険の失業給付を受けるためには以下の基本的な条件を満たしている必要があります。

一般的な受給条件

  • 離職前の2年間に通算12カ月以上の雇用保険の被保険者期間がある(特定理由離職者の場合は1年以内に6カ月以上でも可)
  • 離職後、働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っている
  • ハローワークに失業認定を受ける

介護離職に特有のポイント

介護離職の場合、「特定理由離職者」として認定されるかどうかが重要です。これにより、受給開始時期や給付日数が変わります。

介護離職は「自己都合退職」か「特定理由離職者」か

ハローワークでの判断によって、介護離職が以下のどちらに分類されるかが決まります。

自己都合退職の場合

  • 一般的に「自分の都合で退職した」とみなされる
  • 受給開始までに3カ月の給付制限がある
  • 給付日数は雇用保険の加入期間によって決まる(90日〜150日)

特定理由離職者の場合(介護が理由でやむを得ず退職)

  • 会社に在籍しながら介護を続けることが難しいと認められた場合
  • 3カ月の給付制限なし(すぐに受給開始可能)
  • 給付日数が延長される可能性がある(90日〜330日)

介護離職で「特定理由離職者」と認められるケース

ハローワークでは、以下のような理由があると「特定理由離職者」として認定されることがあります。

  • 家族の介護が必要になり、仕事を続けることが困難になった
  • 介護休業を取得したが、状況が改善せず離職せざるを得なかった
  • 勤務地や勤務時間の変更を会社に相談したが、対応してもらえなかった

必要な証拠書類

「特定理由離職者」と認められるには、以下のような書類の提出を求められることがあります。

  • 医師の診断書や介護認定書(家族の健康状態を証明)
  • 会社への勤務条件変更の相談記録(時短勤務や異動の相談履歴)
  • 介護休業の取得履歴

これらの証拠がないと「自己都合退職」と判断される可能性があるため、事前に準備しておくことが重要です。

介護離職で失業給付を受ける際の注意点

すぐに働ける状態であることが前提

失業給付は「すぐに働く意思と能力がある人」が対象です。
介護に専念するために退職した場合でも、「就職活動をしている」ことを示す必要があります。

介護の状況によっては求職活動の免除も可能

一定の条件を満たすと、ハローワークでの求職活動の頻度を減らせる「求職活動の緩和措置」を受けられることがあります。

受給期間の延長申請を忘れずに

介護のためにすぐに就職できない場合、最大4年間の受給期間延長が可能です。延長申請は離職後30日以内に行う必要があるため、早めに手続きをしましょう。

よくあるトラブル・間違えやすいポイント

「自己都合退職」と判断されてしまう

  • 会社とのやりとりを記録していないと、介護が理由でも自己都合と判断される可能性がある
  • 事前に会社に相談し、記録を残しておくことが重要

申請に必要な書類を準備していない

  • 介護認定を受ける前に退職すると、証明書類の提出が難しくなる
  • 介護休業を取った履歴があると、特定理由離職者として認められやすい

失業給付の受給期間を過ぎてしまう

  • 介護に専念していても、受給期間延長の手続きをしないと失業給付をもらえなくなる

まとめ

介護離職をすると、収入がなくなり生活が厳しくなるケースが多いです。しかし、雇用保険の制度を正しく活用すれば、失業給付を受けながら再就職を目指すことができます。

大切なのは、離職前にしっかり準備すること。

  • 会社とのやりとりを記録し、相談した証拠を残しておく
  • 介護認定や医師の診断書などの証明書類を準備する
  • 退職後の手続きをすぐに行い、必要なら受給期間延長を申請する

介護と仕事の両立は非常に難しいですが、一人で抱え込まずに、ハローワークや自治体の支援を活用しましょう。正しい知識を持っていれば、失業給付を受けながら次のステップへ進むことができます。

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