失業保険の受給日額はどうやって決まるの?過去6か月間の支給総額に含まれる手当は?

失業状態になると雇用保険の「失業手当」を受給することができますが、その受給額は年齢や雇用保険の被保険者期間によって算出されます。

受給額は「一日当たりいくら」という風に計算され、それが4週間およそ28日分が月1回の支給日に支給されます。4週間というのは、前回の「失業認定日」の失業認定から、次回の「失業認定日」に改めて失業認定をされるまでの期間です。

失業保険の一日当たりの受給額は、離職前6か月間の給与など支給総額で決まる

一日あたりの受給額は、離職前6か月間の給料などの支給総額をもとにして算出された「基本日額」というものになります。「基本日額」は離職前にもらっていた賃金のおよそ50%~80%ほどになります。

「支給総額」に含まれるもの、含まれないもの

そこで問題になるのが「支給総額」という金額がどこから出てくるのか、ということです。

単純に「支給された総額」と思っていると、そこにボーナス(賞与)や臨時の手当などがあって支給額の多かった月も含めてしまいがちです。が、失業保険にいける「支給総額」は、賞与や臨時の手当を含まずに考えます。

このことを頭に入れないで受給日額を計算してしまうと、実際の受給額を見たときに少しがっかりしてしまいますね。

「支給総額」に含まれるものは、根本的な給料の「基本給」と、それに毎月コンスタントにもらえる手当、たとえば「交通費」や「残業手当」・「家族手当」などです。

「住宅手当」や「役職手当」も毎月支払われることが決まっていたものであれば「支給総額」の対象になります。

一方、「支給総額に含まれないもの」は、「ボーナス(賞与)」や「出張手当」・「各種祝い金」など、一回きりのもの、またはその都度であって毎月決まっているものではない手当や支給額になります。

支給総額に含まれるもの

  • 基本給
  • 交通費、残業手当、家族手当、住宅手当、役職手当など、毎月もらえる手当

支給総額に含まれないもの

  • ボーナス(賞与)
  • 出張手当、各種祝い金などの一回きりの手当、毎月決まってなくてその都度もらえる手当

まとめるとこのようになります。

ボーナスや臨時の手当が受給日額の算出に関わってしまうと、同じ給料や年齢・同じ条件で働いていた人でも離職する時期やタイミングによって受給できる日に差ができてしまいます。

受給額に差が出てしまうということは、同じ年齢・条件の人であるのに「最低限保障される生活」の基準が違ってしまうことになります。失業保険は「最低限生活できる保障をするための支給」ですので、その「最低限」は同じ条件の人であれば同じでなければいけないため、コンスタントに決められている手当以外は含めないことになっているのです。

一日当たりの支給額は、年齢と被保険者期間や離職理由によって差がある

同じ給料や手当をもらっている人でも、雇用保険の加入期間や年齢によって基本日額にかかる割合が変わってきます。

雇用保険に加入していると、毎月給与のなかから社会保険や厚生年金と同じように「雇用保険料」が天引きされます。長く働いている人は長く雇用保険に加入していることになりますので、雇用保険料もそれだけ多く支払っていることになります。雇用保険料長く支払っている人が、つい数か月前に雇用保険に加入して数か月分しか雇用頬権料を支払っていない人と受給できる額が同じでは納得いかないですよね。

「失業手当」は「雇用保険」の中の補償の一部ですので、生命保険などと同じように長く・多く保険料を支払った人の方が多く失業手当をもらえるようになっています。

また、長く雇用保険に加入している人は受給日数も長くなります。長く加入していればいるほど、その人は年を重ねていることになります。

再就職は年齢が若ければ若いほどハードルが下がります。年齢が高くなると、体力的な面においても、その先の定年退職までの期間を考えても、雇用する側には若い人を雇うより慎重に考えてしまうことが多々あります。

つまり、年齢を重ねれば重ねるほど再就職のハードルが上がり、すぐに再就職できる見込みが少なくなるため、支給日数が長くなるのです。

また、年齢が上がると既婚者や家族のいる方も増えます。同じ支給額で単身者と家族のいる方とでは最低限の生活にかかる金額に差があります。そのような背景もあって、年齢によっても受給日額が変わってくるのです。

若いうちに離職すると、再就職の見込みはあるが失業保険の支給額は少なく、年齢を重ねてからの退職は失業手当の受給額は多いが、再就職が簡単とは言えない、ということです。

離職した理由が「自己都合」か「会社都合」かでも受給額や受給日数に差があり、「自己都合退職」の場合は3か月の「給付制限」もあります。

失業保険はあくまで「つなぎ」、大事なのはその先

たとえ離職前に高額な給与をもらっていても、失業保険での受給額はその50%~最大80%しかもらえません。貯金がなくなってしまえば、最低限の生活しか送れないことに、理論上なってしまいます。

「失業手当があるから」と思っている方は、離職前に給料の半分で生活してみると、その金額に現実味が出るかと思います。なかなか、厳しいですよね。

大事なのは、退職前からのプランニング、生活設計です。失業手当をもらっている間の生活をどうするか、次の仕事はどうするか、先に考えておくことは非常に重要です。

失業手当はあくまで「つなぎ」です。「働かずに貰える=時間を活用できる」という点を生かし、先のことを第一に考え、次の生活に繋げていきましょう。

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