失業保険の日額・受給日数と雇用保険の加入期間の関係 失業保険をもらうと後々損をすることも!?

失業保険をもらうときにまず気になるのは、給付される金額と日数でしょう。この受給金額と日数は、「離職者の年齢」と「退職前までに雇用保険に加入していた期間がどのくらいあるのか」ということが関係してきます。

失業保険の受給日額と受給日数の決まり

会社都合の離職の場合は、雇用保険の加入期間が1年未満でも失業保険が受給できます。ですが、1年未満の場合であれば年齢に関わらず給付日数は90日です。

1年以上5年未満では年齢により90日~最大150日、5年以上10年未満では120日~最大240日、10年以上20年未満は180日~最大270日となり、加入期間が20年以上になると240日~最大330日となります。

受給日数最大330日というのは、雇用保険の加入期間が20年以上で45歳以上60歳未満の年齢層です。この年齢層は会社都合で離職を余儀なくされた場合、再就職が困難になってくる年齢なので、受給日数も長くなると思ってよいでしょう。再就職が困難でありながら家族を養わなければならない方も多いです。

失業保険の受給日数は、雇用保険の加入期間だけではなく、そういった離職者の生活事情を考慮した日数になっています。

自己都合退職の場合には、年齢に関わらず1年以上5年未満は90日、5年以上10年未満は120日、20年以上になると150日となります。会社都合に比べるといささかあっさりしていますが、なにせ自ら退職したケースなので、甘やかしてはもらえない、というところでしょうか。

1日あたりの給付額は、退職前の50%~80%

また、受給日額は離職前の給与直前6か月分の合計を180で割って出した金額のだいたい50%~80%くらいです。退職前の給与支給額が少ない方ほど高い割合になるように決められています。

また、支給される日額には年代別に上限額が決められています。30歳未満の上限額は日額6,370円、30歳以上45歳未満では日額7,075円が上限になります。45歳以上60歳未満は日額7,775円が上限、60歳以上65歳未満の上限額は6,687円となっています。

このように、離職者の離職理由や年齢・雇用保険加入期間によって支給される日額や受給期間がしっかりと決められています。

失業保険をもらうと、もしかしたら損をするかもしれないケース

失業した場合の生活の支えとして受給できる失業保険ですが、この失業保険も、実はもらわない方があとあとよい場合もあります。

派遣会社に登録している方

たとえば派遣会社に登録している方。派遣社員の場合は、一つの派遣契約を終えた後一定の期間派遣先が見つからないと失業状態とみなされ、失業保険を受給することができます。

しかし、この新しい派遣先を待っている期間に雇用保険加入期間の境目、つまり加入期間5年近くやもうすぐ10年になるなどという場合は、よほど切羽詰まっていない限り失業保険をもらわない方が得することがあります。

派遣先が見つからない「今」、雇用保険加入期間が9年2か月としましょう。この場合、30歳以上45歳未満では自己都合で90日会社都合で180日の受給日数です。また、今失業保険をもらうと今まで雇用保険に加入してきた期間はリセットされ、次の派遣先との契約が切れてまた失業保険をもらおうとしても雇用保険加入期間が短く、1年未満の場合は自己都合では失業保険はもらえません。

そこで、今はなんとかしのいで次の派遣先を見つけ、その後8か月以上経過後に派遣契約が満了したときに失業保険をもらうことにすると、雇用保険の加入期間が10年以上になり、自己都合でも受給日数が120日になり、会社都合では210日と30日受給日数が増えることになります。

派遣社員に限ってのことではなく、転職のために離職した場合もこのことは念頭に置いておくと、万が一転職先で長く続かなかった場合に失業保険を受給することができます。転職先の事情をよく知っていたり長く続ける自信のある場合は別として、すぐに転職先が見つかりそうな場合は失業保険を「今はもらわず」、「その後退職した時のために雇用期間を蓄えておく」という選択肢もあるのです。

「今」が大事か、「将来」に残しておくか 少し未来のビジョンははっきりさせた方がよい

会社都合で離職した場合は、ほとんどの方が心の準備も再就職先の準備もできていないでしょうから失業保険を我慢することはないと思います。しかし、自分の意志のもと離職する場合などは、あらかじめきちんと生活費にめどをつけておき一度は失業保険をもらわずに新しい職場に入ってみることも損ではないと思います。新しい職場を1年以内に自己都合退職した場合は失業保険をもらえなくなってしまうので、今離職した後の生活の方が厳しいか、再就職先で上手くいかず離職してしまった場合の方が厳しくなるのか、そういったあたりのリスクヘッジはある程度必要になってくると思います。

もらえるからもらっておく、という考えのもと安易に失業保険を受給すると定年退職後にももらえる失業保険の受給日数にも影響します。

「今受給するのが最善」なのか「今は受給しなくてもある程度はなんとかなる」のか、離職する場合は一度よく考えてみることは大事かもしれませんね。

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