失業したのに夫の扶養に入れない!?失業と103万・130万の壁

共働きやパートなど、専業主婦の割合が減って働く主婦が増えてきました。主婦といえども働いた収入が多ければ夫の扶養から外れて自分が社会保険か国民健康保険の被保険者になります。

でも、仕事を辞めてしまえば収入はなくなります。その場合、収入がなくなったのだから自動的に夫の扶養になれると思ってはませんか?

失業したら主婦は自動的に扶養に入れる、は間違い?

実は、退職前の収入や失業給付の額によっては無職になっても夫の扶養に入れないケースもあるのです。

扶養に入れない場合は、所得税や住民税を支払わなければならなかったり、健康保険を任意継続したり国保に加入しなければなりません。

知らなかった、では後であたふたしてしまいそうな扶養の仕組み。困る前にきちんとしっておきましょう。

「税金に関する扶養」は年間所得103万円以下、「健康保険に関する扶養」は年間収入130万円未満

働いていて収入があっても無職で収入がなくても扶養に関する収入額の条件は変わりません。

ですが、退職する人すべてが年度末の12月31日付で退職するわけではないですよね。つまり、年度末で退職した人以外は、基本的には年度内には収入があったことになります。これに加えて失業保険給付をもらえば1年間の収入はそれなりの額になることがほとんどでしょう。

失業給付をもらうためには、雇用保険に加入していなければなりません。雇用保険に加入するには、週20時間以上・雇用契約期間31日以上が条件です。1日4時間の短時間パートでも週5日の出勤だと1週当たりの勤務時間は20時間になります。

年を追うごとに最低賃金は上がってきていますので、パートといっても雇用保険に加入できる収入の人は増えています。

では、退職前の給料と失業保険の給付をもらっていたら、1年間でどのくらいの収入になるでしょうか?

共働きで正社員として働いていた場合などは、退職前の給料と失業給付を合わせると短時間のパート勤務の年間収入よりも多くなることもあり得ます。そんな場合はもしかすると、無職になっても夫の扶養に入ることができないかもしれないのです。

「扶養に入る」は2通りある

「扶養に入る」というのは2通りあり、「税金に関する扶養(所得税や住民税)」と「健康保険に関する扶養(社会保険や国民健康保険)」で条件が異なります。

税金に関する扶養

「税金に関する扶養」では「103万の壁」をよく耳にするかと思います。この103万円は「年間所得103万円」です。収入ではなく所得です。

失業保険給付は所得とはみなされないので、退職前の給料の合算(退職後にパート収入などがあればそれも合わせる)が103万円以下であれば税制上では夫の扶養に入ることができます。

扶養控除の額は減っていきますが、年間所得141万円までは扶養控除は受けることができます。つまり結論としては年間所得141万円未満であれば税金に関する扶養には入ることができます。

健康保険に関する扶養

「健康保険に関する扶養」は税金とは条件が変わり、こちらは「年間収入」が基準になります。

一部の企業の健保以外は基本的に1年間の収入が130万円未満でないと健康保険の被扶養者になることはできません。ここは所得ではなく収入ですので、失業保険給付でもらう金額も加算されます

しかも健康保険の年収は「見込み年収」で考えられるため、退職から年度末まで期間があると、そのうちに再就職をして収入を得たら年間収入130万円以上になるだろうとみなされると、再就職が決まっていようがいまいが夫の扶養に入れなくなるケースもあり得ます。

この「見込み年収」の裁量は健康保険の協会や組合によって差がありますので確認することをおすすめします。健康保険の扶養に入れない場合は社会保険の任意継続や国民健康保険の加入などの手続きをしなければなりませんので、できれば退職前に被扶養者になれるかは調べておく方が無難です。

妊娠・出産が理由の退職は収入に関わらず扶養に入れる。失業給付の延長を忘れずに

結婚している女性であれば、妊娠・出産を機に退職するケースも当然あります。

退職の理由が妊娠・出産の場合は、退職後すぐ再就職できる状態にはないのでその年の収入がどうであれ健康保険については扶養に入ることができます。

所得税や住民税に関しては、年度内の所得額が次年度に関わってきます。前年度の所得額が大きく、今年度の所得に見合わないだけの税額が来た場合は確定申告をして払い過ぎた税金を還付してもらわないと損をすることになります。

また、妊娠・出産が理由の退職は失業保険給付をもらうことができません。ですが、この「もらえない」というのは「まったくもらえない」ということではなく妊娠・出産のためすぐ再就職はできないので「今はもらえない」というだけです。

「今は」働けないが「今後働くつもり・働きたい」と思っている場合は、ハローワークで失業給付の受給資格の期間延長を申請してきましょう。出産後など退職から最大4年以内の受給資格延長ができます。

正確には「受給開始の先延ばし」にしてもらうのですが、このことにより産後や育児がひと段落したあと求職をするときに失業給付をもらいながら仕事を探すことができるのです。

退職する前にもらっていた給料が多いほど失業給付の額は大きくなりますので、損をしないように受給資格の延長は忘れずにしておきましょう。

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